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「指示通り」ができない人たち

出版社/日経プレミアシリーズ
著 者/榎本博明
昨今の職場を悩ます”使えないなぁ。。。。”といった方々について心理学者である著者が考察した本です。指示通りのことがこなせない、メンタルが弱くすぐ心が折れる、自己評価がやたら高い…といった、アンビリーバルな行動に対して、管理職はどのように対応していけばいいのかを様々な事例ともに紹介しています。

<学びのポイント>
●職場で使えない人材の問題点は以下の3つ。
①認知能力の問題
知的能力である認知能力、中でも読解力が弱く、書いてあることや人の話を十分に理解できない。

②メタ認知能力の問題
「振り返る力」が弱く、自分の仕事能力の弱点に気づけないため、改善・成長ができない。

③非認知能力の問題
自分をやる気にさせる力などの非認知能力に問題があり、知的活動がうまくいかない。

●認知能力・メタ認知能力・非認知能力が低い人の特徴と、管理職がすべき対処法とは、例えば、次のようなものである。
【認知能力が低い人】
・何かとすぐにパニックになってしまう。
⇒同時に複数のことをしないようにさせる。
・頭の中が整理されておらず、指示通りに動けない。
⇒文章を要約するなど、要点を抽出する訓練を行わせる。

【メタ認知能力が低い人】
・先輩からのアドバイスを意地悪と受け止める。
⇒対話を重ねて、自分のやり方が間違っていたことに気づいてもらい、アドバイスを冷静に受け止めるよう導く。
・仕事ができないのに、できるつもりでいる。
⇒仕事の注意点等について自問自答する習慣をつけさせる。

【非認知能力が低い人】
・思うような成果が出ないと落ち込む。
⇒失敗を前向きに受け止める習慣をつけさせ、レジリエンス(回復力)を高める。
・仕事の能力は高いが、人と接するのが苦手。
⇒仕事に関する知識が豊富なことに自信を持つよう伝える

読み終わっての正直な感想は「現場はここまで深刻なのか」ということ。研修でも様々相談されますが、発達障害という言葉で大きく括って、本質的な解決に踏み込めていないのが実情です。かなり深刻な問題ですが、これは学校教育も絡めて改善していかないと、会社の上司、人事、研修部門だけでは対応できないような気がします。これもスマホ依存の影響なのか。本気で取り組まないと。特に採用で苦戦している中小企業にとっては、一層深刻な問題であると推察します。