VIBRANCE

安売りをしない会社はどこで努力しているか


出版社: 大和書房
著者: 村尾 隆介

本書の著者は中小やベンチャーのブランド戦略を手掛けるコンサルタント会社の社長です。中学生の頃から単身渡米して、アメリカの大学を卒業し、日本で就職した帰国子女。本書の中にも、海外企業のことが随所で紹介されており、まさにグローバルな視点で書かれた本です。内容はというと、「安易な値下げはよくない。価値をあげることで、値下げをしない」という主旨のもので、「安くていいもの」を決して否定するものではありません。ただ加速するデフレの流れに、「値段を下げる前にできることはたくさんある」という意味は、一石を投じている内容でもあります。

確かに、ものの値段といっても、高いか安いかは買う本人が決めることですよね。「イニシャルコスト・ランニングコスト」といった考えは昔からありますし、「高いから売れない、安いから売れる」といった理屈はいつも通用するわではありません。銀座のエルメスは相変わらず混んでいるし、都心の億ションもあっという間に完売します。スーパーや居酒屋は値段を下げても客足が思うように伸びずに、更なるコストダウンを図ろうとしています。

市場も成熟化をしているし、人々の価値観も多様化している今、改めて「ものの値段、価値」ということを真剣に考えないといけません。

「値決めは経営」 京セラ名誉会長で現日本航空会長の稲盛さんが言われた名言です。確かに値段は、売り上げだけでなく、その会社の戦略や商品価値までの全てに関わってきます。ただ今は、安くていいものであることが当たり前。ユニクロ、H&M、サイゼリア、すき家、タマホーム、ジャパネットたかたと、CMで目を引くような会社は、やっぱり「安くていいもの」を標榜しているもの事実ですし、実際に多くの商品やサービスにおいては、業界のリーダー的な位置づけの会社が基準となって、ある程度の「値頃感」みたいなものが決まっているのは事実です。

先述しましたが、筆者は中小やベンチャー向けのブランド戦略を手掛けている関係から、今のようなデフレ社会において、「小さい会社、若い会社」がどうやって、「価格を下げずに価値をあげるか、またそうい価値のあるうブランドを構築するか」ということが、いくつかのステップにおいて書かれています。

「プライシング(値決め)のセオリー」 や 「会社自体のフアンを増やす」という部分は、何となくわかってはいましたが、いろんな事例が引用されており、平易な言葉でも記述してあり、とても読みやすく腹におちました。

そして一番印象に残ったのは、筆者がこれまで「値段競争」に陥った会社に共通してるという「『むやみなや安売り』がよくない10の理由」は非常に納得感がありました。

〇売り上げは出ても利益が出ない

〇理不尽なクレームが出る

〇リピーターが減る

〇他店との安売り競争から逃れられなくなる

〇お客さまと価格のことで戦うことになる

〇アイデアのない会社になる

〇組織づくりに時間がさけない

〇仕事が増える

〇協力会社に迷惑をかける

〇広告をうっても値段しか覚えてもらえない

 

深く読み込んでいくと、商品やサービスだけでなく、自分自身も安売りはしないほうがいいことを感じます。

「価格を下げずに価値をあげる」 今後仕事を進めていく上で、大事な指針の一つにしていきたいと思います。

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