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学問のすすめ


出版社: 三笠書房
著者: 福沢諭吉 <現代語訳・解説>檜谷 昭彦

人材育成の仕事をしている私が、コンテンツ開発でどうにも行き詰まったときに、必ず読むようにしている本。「何故、人は学ぶのか」ということについて、「賢く、誠実に、合理的に生きていくために、何を学び、それをどう活かしていけば良いのか」という観点から、明快に記されている。明治の初めに書かれているものであるが、”時代錯誤”のようなものは一切感じない。むしろ、国家のありかたを変えていこうとする今の時代に、国民全員が読んだほうが良い書籍だと思えるくらい、大事なことがたくさん書いてある。

 

冒頭で、賢人と愚人の違いを「学ぶか学ばないか」という点で定義をしている。確かにそうだ。学ばない人間には成長がない。加えて、実生活で役立てられるような学び方が必要であるとも書いてある。その通りだ。どんなに知識があっても、活用できなければ意味がない。学ぶことは過程であって、生きていくためにどう活かすかということを考えないと、学ぶことが目的になってしまう。

 

何より、いつも私が心を揺さぶられる箇所がある。それは「蟻の門人となるなかれ」という言葉。端的にいうと、自分のことばかり考えて生きていくのは、蟻と大して変わらないということ。世のために何かしようとする、人のために尽くそうとする、そういった行動があるから、世の中は変わっていくんだということ。利他の精神こそ、今の時代に求められているものではないか。ここに加える形で、一人ひとりが、この国を背負って立とうという気概が大切であるとも書いてある。そうだ、今こそ国民全員が、今自分が何をすべきか考えるときだろう。

 

また、今も昔も変わらない格差社会を前提とした上で、世の中で最も醜いことを「人の生活をねたむこと」としてある。人はいつでも「差異性」を追い続けていくものだ。差異性を求め、仮にそこで優越感のようなものが得られたとしても、浅はかなものに過ぎない。比較すべきは、昨日の自分しかいない。

 

こども 学問のすすめ.jpg

 

他にも大事なことがたくさん書いてある。無駄な箇所は一つもない。本を読むのが苦手だと思う方、お子さんに読ませたいと思っている方には、「こども 学問のすすめ」という本も出ている。読みやすい内容になっているので、こちらから入ってもいいと思う。

 

今、国の形が大きく変わろうとしている(予感がする) まさに幕末から明治維新のときと同じような印象を受ける。道州制は廃藩置県、黒船来襲はTPP、大政奉還は既成政党の終わり、、、と、今こそ国民がきちんと学んで、この国の行方に責任を持たなければいけないと思う。

 

勿論、国のことを考えることも大切だが、日々の生活を賢く、誠実に、合理的に過ごすために、地道な努力も欠かしてはならないことは言うまでもない。

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