前回に続き、小室淑恵さんが「生産性向上」をテーマについて書かれたもの。内容とは関係ない話だが、小室さんのように綺麗な方は、表紙に堂々と顔出しされている。勝間さんもそうだ。(勝間さんのルックスがどうかはここでは触れない)
まずタイトルにインパクトがある。現在、多くの職場が「少数精鋭」での組織運営を余儀なくされている。
それが残業の常態化やメンタル不全、果てはコンプライアンス違反や事故につながっていることは、周知の事実だ。
前回も書いたが「時間に仕事を割り当てる」という発想をベースにした「これからの仕事の進め方」について、世の中の管理者は勿論のこと、経営者に対しての「提言」が書かれている。前作と比較して「考え方」を全面に押し出していることもあり、「具体性」といった観点からすると、人によっては物足りないだろうが、「ワークライフバランス」や「時間生産性向上」というテーマは、会社によって実践の仕方が違うので、「コーチング的」な書籍としてはちょうどいいと思う。
本の帯に「こんな職場はいつまでたっても働きやすくなりません!」
といくつかの事例が引用してあるが、これには思わず苦笑してしまう。
〇残業してつくった企画書は翌朝読むと平凡だ。
〇「ちょっといいですか?」が1時間になる人がいる。
〇私がいなければまわらない仕事がある。
〇メールの返信は早いほど受注がとりやすい。
〇忙しそうにしていないと余分な仕事が降ってくる。
などなど、どこの職場にもみられそうな傾向だ。
読み進めていくと改めてわかるのが、「急がば回れ」ということ。
マニュアルをつくって業務引継や人材育成を進めたほうがいいことはみんなわかっているけれど、
「マニュアルをつくる時間がない」とか「説明している間に自分でやったほうが早い」
ということを理由に、「仕組みづくり」を先送りにしている事実は、“だってしょうがないじゃん!”という声があがりそうだが、至極ごもっともな話である。
小室さんの本をお勧めするのは、管理職向けに書いてあることである。
タイムマネジメントの研修をやっていると感じることは、生産性向上には本人の業務改善も必要だが、仕事を支配している上司の問題も多分にあるように思う。
根底には「評価」の問題もあると思う。「予算未達成なのに定時退社なんて考えられない」と考えるのは納得ができるし、定時以降にオーダーされた仕事も着実にゲットしていくのは、この不況を考えたら仕方がないかなと思うこともある。
ただ大事なことは、「管理者が少数精鋭・残業なしの与件の中で、チームとして成果を上げる」ことについて,長期的な視点からイノベーションを起こすことだと思う。
印象に残ったフレーズは以下の通り。
〇仕事に時間を割り当てるのではなく時間に仕事をわりあてる
〇この人でないとできない仕事は少ない
〇マニュアル作成は危機管理のひとつ
〇マニュアルは最初から完璧である必要はない
〇職場における「自分がいなくては」「俺じゃないとだめだろう」という歪んだ優越感
〇即レスがウリの職場は要注意
〇無駄を省き、会社にとって利益となる仕事を優先して出来る職場づくりには、ワークルールをきちんと設けることが必要不可欠
〇成果を正しく評価するためにも、時間あたりの生産性をもっとシビアに見ていく必要がある
〇後輩を育てることは先輩社員であるあなたにとってプラスの評価になりますという方針を明確にする
〇捨てる仕事がわかるとスピードが上がる
〇今の時代に求められるのは「時間や感情をマネジメントして安定して仕事が出来る社員」